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 財産管理について民事信託(家族信託)は有益であるが、契約条文を含め高度の内容にしておかなければ、後々 トラブル・争いになる可能性がある。委託者・家族が安心・安全・快適な将来のために、信託を組成したのに、「こんなはずではなかった」とならないために、以下について考察をする。

 ①遺留分について ②委託者の意思判断能力について ③受託者の解任について ④説明と理解について     旧民法遺留分減殺請求制度時の裁判例(東京地裁平成30年9月12日判決)遺留分減殺請求の対象は受益権との判断が示され、信託契約の一部が遺留分制度を潜脱する意図でなされたもので、公序良俗違反で無効とされた。遺留分侵害額請求制度への改正により、受託者と遺留分権利者との共有状態を回避できる可能性があり、無効とされないと遺留分権利者の権利保護されないという事態は減ってくると考える。

信託契約も契約なので、契約当事者の事理弁識能力・契約能力が当然必要となる。認知症対策などで、家族信託は有効であると言われるが、受託者が意思判断能力が欠如しても信託には意思凍結機能があると言われるからである。問題となるケースは信託開始後の財産の追加である。 追加する時点で委託者の新たな信託契約と信託の併合の意思判断能力が必要となる。ならば当初時委託者の「全財産」とすれば解決できそうだが、全財産の範囲・いつの時か契約書に明記しなければ、受託者の管理処分権限が不明確になる。一般的な信託契約書でみかけるケースである。

③ 委託者兼受益者が意思表示により受託者をいつでも解任できる(基本)。委託者兼受益者の意思判断能力の有無が争点となるが、委託者兼受益者の能力の無効を受託者側が主張できるか。通説によると、法律行為の意思無能力者側のみが主張できるとされ、表意者の利益保護が理由である。ただ絶対的に主張が認められない訳ではなく、契約条文での検討を十分にして、「信託の終了」「受託者の解約」「信託の変更」を区別して条文の記載が必要になる。信託監督人・受益者代理人の活用も一考に値する(費用がかかるが)。 

依頼者に十分に説明責任を果たしたか、依頼者は内容・リスクを十分に理解したかが問題になる。先生がやることだから間違っていないなどと、白紙委任に近ければ、リスクは依頼者本人がとらざるを得ない。認知症対策に有効だからの一言で信託組成をし、登記事項を見たら「名義が代わっている」とびっくりした。このようなことがないように、重要事項の説明・契約書条文の説明を十分にし、依頼者は不明点は先送りしないことである。信託組成費用は100万円以上(信託財産による)かかり、信託監督人を選定すれば月々費用がかかるので、安易な考えで組成に取り組まず、民事信託(家族信託)の「いろは」から考える事である。  

 委任契約の代用・後見制度の代用・遺言の代用・2次相続以降の財産承継先の指定               メリットのある家族信託をぜひ安心・安全に活用したいものである